前回の続きです。
珪藻分析は研究の目的や試料の種類によっていくつか方法があります。今回の湧別町のコアYS-1で用いた方法を簡単に紹介します。
1) 乾燥させた堆積物試料(重量0.5~1 g)を200 mlコニカルビーカーに入れ、30%過酸化水素10 mlと濃塩酸約1 mlを用いてホットプレート上で加熱処理します。
<写真 1> サンプリングした試料を半裁し堆積物の状態を確認する。左側から右側にかけ深度が増す。現生のヨシの根や中央付近にはテフラも観察できる。
<写真 2> 分析用の試料(手前)と、使用する器具・薬品
2) 酸処理後、水を200 mlの目盛りくらいまで加え、一晩静置します。つぎに、傾瀉(デカンテーション)により上澄み液を捨て、ピロリン酸ナトリウム約1 gと水を200 mlの目盛りまで加えて、細かい粘土成分を分散させます。そして、さらに8時間程度静置します。その後、細かい粘土成分を傾瀉により除去し、また水を加えます。以後、この操作を約3時間ごとに繰り返し、上方が透明になるまで行います。毎日3~4回水替えをして、だいたい10日ほどかかります。そして、上澄み液を捨て、残りの沈殿物を珪藻化石の分析に用います。
<写真 3> 粘土成分の除去
約3時間ごとに水替えをくり返し、写真(右)のように、3時間後に上方が透明になったら、粘土成分除去の完了です。
投稿者 kawamozuku